syghの新フラグメント置き場

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戦略・戦術シミュレーションゲームの切なさ

DMM(FANZA)でエロゲーが夏季セールになっていたので、今は亡きelfの『シャングリラ』を買ってプレイしてみました。シリーズには1と2があり、いずれも1991年/1993年発売のオリジナル版(PC-98)ではなく、2005年にリメイクされたWindows版がベースになっています。1、2、1&2マルチパックの3種類がありますが、ダウンロード版のマルチパックは単純にプレイライセンスキーをまとめて購入できるだけで、違いは無いようです。ゲームのダウンロード&インストールも個別です。

「シャングリラ」(Shangri-la, Shangrila) とは、ジェームズ・ヒルトンの小説『失われた地平線』に登場する架空の地名がもとになった、「理想郷」を意味する英単語ですが、このゲームのタイトルは『SHANGRLIA』。おそらくスペルミスなどではなく、意図的に変えたのだと思われます。

このゲーム、エロゲーのくせにエロやストーリーはおまけで、戦略(戦術)シミュレーションパートのほうがよくできています。ユニットは剣士・戦士・魔法使い、槍・大砲・弓矢、騎馬・忍者・火竜、鷲の10種類4グループがありますが、各ユニットには性能や出撃コスト、相性などの違いがあり、最初の部隊配置が最も重要です。
オリジナル版ではほぼ真上から見下ろすバードビューでしたが、Windows移植版は斜め視点のクォータービューになり、高さの概念も追加されています。グラフィックも解像度は640×480 (VGA) と小さめですが、なかなかキレイです。サウンドも耳に残るメロディーで良質ですね。ボイスも全キャラクター追加されていますが、戦闘中はほとんどボイスなしです*1。各面クリア後のご褒美エロCGはフルカラーで今風に彩色し直されていますが、どうにもありきたりなエロゲー塗りとモザイクで、線画も改悪されており、昔のタイルパターン職人芸を駆使した16色時代のドット絵のほうが良かったと思います。女の子の体つきや瞳の描き方など、好みはあると思いますが、デッサンも色使いも、昔の絵師さん(好実昭博)やグラフィッカーのほうがレベルが高いですね。野々村病院もそうですが、旧グラフィックも収録して切り替えできるようにしてくれればいいのに……仮に課金ダウンロードコンテンツだったとしても自分はお金を払いますよ?

ちなみにアリスソフト闘神都市などのオリジナル移植版を無償公開してくれています。太っ腹ですね。ゲーム的には今プレイするとつらい部分もありますが、グラフィックは逆に一周回って新鮮に感じられてオシャレな感じです。80年代や90年代の絵柄が大好きな人にはたまらないでしょう。ボイスは無くてもファミコン世代は想像で十分補えます。

とりあえずシャングリラ1はノーマルモードをクリアしたので、次は2をプレイしてみたいと思います。しかし、DMM GAME PLAYERが起動のたびに毎回UAC (管理者特権) を必要とするのがうっとうしいですね。アップデートの際に管理者特権を要求するならばまだ分かるんですが、なんでDMM GAME PLAYERのコンソールとゲームを起動するだけなのに管理者特権が必要なのか。しかも "%ProgramFiles(x86)%\DMMGamePlayer\rt\bin" を見る限り、なんかJava 8のランタイムを使ってるっぽい。Steamもディレクトリ設計とかメチャクチャなんですが、DMMのほうはそれ以上にお粗末です。

戦略・戦術シミュレーションゲーム自体あんまりプレイしないジャンルなんですが、そんな自分でもFCのガチャポン戦士4 (1991) とかSFCSDガンダムX (1992) とか大将軍列伝 (1995) とかバハムートラグーン (1996) とかはよくプレイしてました。それにしてもSDガンダム多いな。当時コミックボンボン派だったんですよ。バハムートラグーンは今は亡きスクウェア時代の名作で、ジャンルとしてはシミュレーションRPGに分類されますが、SFC末期の作品だけあって、FF6に匹敵・凌駕するレベルの美麗なグラフィックや迫力のサウンドが楽しめます。ストーリーについてはいまだに物議をかもすこともあるくらいですが、ぜひともプレイしてもらいたい。このゲームをプレイしたこともないのに、よく知りもしないで批判する輩がネット上にはいますが、そういう知ったかぶりのエアプレイヤーどものノイズは一切無視してください。

古典的な戦術シミュレーションゲームのルールは将棋やチェスのようなボードゲームに似ていて、自軍のターン(フェイズ)で好きなユニット(駒)を選んで移動して相手の陣地を攻めていき、ユニット同士が接触すると戦闘に突入します。最終的に相手ユニットを全滅させるか最重要拠点を占領すれば勝利なんですが、一定のターン数耐えて拠点を守りきれば勝利となるマップもあったりします。ユニットごとの射程や相性、地形効果、回復やユニット生産が可能な中間拠点、マップ兵器といった要素を加味して進軍することが攻略の要となってきます。

ユニットのグラフィックはマップ画面でも戦闘画面でも頭身の低いデフォルメされたキャラクターが使われることが多く、特にSDガンダム系は敵も味方も妙に可愛いんですよね。攻撃モーションとか、ダメージを受けたときのリアクションとか、どのキャラクターもちょこちょこ動くのでめちゃくちゃ萌えます。表情のない戦艦ユニットですら可愛い。容量が限られていたからこそ映えるのがSDだったのかもしれません。ガチャポン戦士4では、1つのユニットは4体のキャラクター(モビルスーツ)で構成されている小隊で、各キャラクターはダメージを受けてHPがゼロになると爆発(死亡)して消えてしまいます。ユニット内に一体でも残っていれば拠点で補給・回復することができますが、すべてのキャラクターが失われるとマップからユニットが消失します。アムロ・レイカミーユ・ビダンなど、ネームドパイロットの機体はロストすると拠点で復活させることはできず、次のマップでは復活するものの、レベル(経験値)がリセットされた状態になるので、いかにして自ユニットを消失せず相手のユニットを削るかが勝敗のカギとなってきます。

こういったゲームは対人戦ではケンカになることも多く、それを嫌ってどちらかというと一人でCPU戦(キャンペーンモード)をプレイすることが多かったんですが、敵ユニットが最後の1体だけになっても、CPUが一生懸命思考して戦っている姿を見るとなんだか切なくなります。ソーラレイとかコロニーレーザーのようなマップ兵器を手に入れると、射線上の敵ユニットをなすすべなく焼き払うなど、一方的に蹂躙することもできますが、こういう無差別殺戮のできるマップ兵器は嫌いでした。SDガンダムではデフォルメされた絵のせいでコミカルに見えますが、やっていることは残酷そのものです。現実世界で戦争をやりたがる人間というのは、敵味方問わず前線で戦っている兵士の顔が想像できないんでしょう。大義名分を笠に着て、一般市民を大量虐殺できる兵器をためらうことなく使える人間も狂っています。異常なことが異常でなくなるのが戦争なんです。

*1:唯一聴けるのが、地雷を踏んだときのボイスなんですが、敵のボイスも実装されています。敵ながら悲痛さが伝わってきて、なんだか可哀想になってきます。