マザーボードを交換した後、なかなか作業残件を片付けるためのまとまった時間がとれなくて後回しにしていましたが、Windows 10のサポート終了も迫ってきたため、とうとう個人PCをWindows 11に移行しました。
もともとWindows 8→Windows 8.1→Windows 10とアップグレードしてきていましたが、OSをインストールしていたHDDのパーティションが旧形式のMBRだったので、そのままではWindows 11にアップグレードすることができず、最後の障壁となっていました。
OSのクリーンインストールをするのはいくらなんでも面倒すぎるので、MBR形式をGPT形式に変換し、UEFI/セキュアブートを有効化できるようにすることにしました。
ただし、MBR形式やSATAドライブを利用する場合、マザーボードのCSM(Legacy BIOS)を有効化しておく必要があり、一方GPT形式を使ってUEFI/セキュアブートを有効化するにはCSMを無効化する必要があるため、手順を誤るとOSが起動できなくなって詰んでしまいます*1。要するにSATAドライブ上で直接MBR→GPT変換をかけてはいけません。
- まずWindows 10のインストールされたSATAのHDDを、MBR形式のままNVMeのM.2 SSDに完全クローンする。
- 誤操作防止のため、クローン元のHDDのみを取り外す(SATAケーブルだけ外す形でもOK)。
- MS謹製の公式ツール mbr2gpt を使って変換する。
- 次回起動時にM/BのCSMをBIOS/UEFI画面で無効化し、UEFI/セキュアブートを有効化する。
- Windows 11にアップグレードする。
という手順を踏む必要があります。
ストレージのクローン
- 登場人物
- SATA内蔵HDD: Western Digital Redの1TB版 (WD10EFRX-68PJCN0)
- 外付けHDD: BUFFALO HD-PCFU3の2TB版 (HD-PCF2.0U3-GBD)
- NVMe内蔵SSD: WD BLACK SN850Xの2TB版 (WDS200T2X0E)
- mbr2gpt
- 回復ドライブ用のUSBメモリ(要32GB以上)
- LBコピーワークス13
- LBコピーワークス起動メディア用のUSBメモリ
通常起動のWindows上で、起動中のシステムドライブに対して直接mbr2gptを実行するのはよろしくないらしいので、回復ドライブのメニューからコマンドプロンプトを起動してWindows RE上で実行することにしました。
もともと回復ドライブはシステムファイルの破損などでOSが万が一起動しなくなったときに使える手段であり、復旧に必要なシステムファイルを一通りコピーするので作成には結構時間がかかりますが、これを作っておけば内蔵ストレージの回復パーティションは不要だそうです。回復ドライブを使って復旧処理を実行することで、作成時のタイミングにシステムを戻すことができます。ただし、回復ドライブではユーザーデータは復旧対象ではないため、定期的なバックアップではストレージ全体のクローンを作成するようにしたほうがよいです。
外付けHDDは作業途中のバックアップ用です。ディスクのクローンには時間がかかりますが、転ばぬ先の杖としてバックアップは必須です。MBR→GPT変換をかける前や、OSをアップグレードする前にクローニングツールを使ってRAWコピーによるバックアップを実行しています。
今回もクローニングツールとして、Windows PE環境で起動するLBコピーワークスを使用しました。
LBコピーワークスをWindowsにインストールしてから普通に起動し、ディスクコピー処理のタスクを作成すると、OS再起動後にWindows PE上で動作してくれるので、起動メディアのUSBメモリ作成は必須ではないものの、万が一OSが通常起動できなくなったときのために作成しておいたほうがよいです。詳しくは取説のPDFにも記載されています。
WD BLACK SN850XにはAcronis True Imageを利用する権利が付いてくるんですが、以前HDDをクローンしたときに使ったLBコピーワークス11が好印象だったので、今回Windows 10/11対応版であるLBコピーワークス13を購入しました。
ダウンロード版は日本の販売代理店のLIFEBOATや、LIFEBOATと提携しているメガソフト、ソースネクストなどから購入することができます。
メガソフトショップのリニューアルオープン時の割引クーポンが残っていたので、普段MIFESでお世話になっているメガソフトへのお布施と思ってメガソフトショップで買いました。
- LB コピー ワークス13 製品情報 - LIFEBOAT
- LB コピー ワークス13 ダウンロード版 – メガソフトショップ
- LB コピー ワークス13 - HDD/SSDを丸ごとコピー|ソースネクスト
RAWコピーは使われていない領域(ボリュームが割り当てられていない領域)も含めて全体のコピー処理を一律実行するので、ストレージの総容量に比例して時間がかかるようになります。
今回は1TBのSATA HDDを2TBのUSB 3.0 HDDにRAWコピー(バックアップ)するのに2時間程度かかり、2TBのNVMe SSDを2TBのUSB 3.0 HDDにRAWコピー(バックアップ)するのに4-5時間程度かかりました。画面上に表示されるコピー速度はだいたい110-130MB/s程度(おそらくUSB律速)だったので、妥当な時間です。
しかし、1TBのSATA HDDを2TBのNVMe SSDにRAWコピーした際も2時間程度かかっていました。SATA1規格の速度であれば納得いきますが、コピー元のWDの内蔵HDDはSATA3対応のはずなので、微妙に納得がいきません。SATAケーブルは古いものを使っていたものの、転送速度には無関係のはず。
いずれにせよ、SATA HDDをNVMe SSDにクローンした時点でOS (Windows 10) の起動や全体的な動作が爆速になったので、少なくともこの作業だけはさっさとやっておけばよかったですね。
あと4月にマザーボードをASRock B650に交換した後、Windowsが正常に起動するようになったにもかかわらず電源投入後にビープ音が2回鳴っていたんですが、今回CSMを無効化したことでビープ音が1回だけになりました。
Windows 11へのアップグレードには Windows11InstallationAssistant.exe を使いましたが、自分の環境ではダウンロード・インストール・再起動全部含めて完了まで1時間程度で済み、無事24H2になりました。やはりストレージが爆速になったのが効いています。
本当は移行したくなかったWindows 11
Windows 10も機能更新のたびに悩まされたOSでしたが、バージョン22H2が最後の機能更新となり、大幅な仕様変更がなくなったことで、ようやく安定して使える環境になっていました。10月のサポート終了で慣れ親しんだインターフェイスを手放すのは悲しかったものの、これも時代の流れと諦めました。
仕事ではすでにWindows 11を使っているし、実家のPCもWindows 11になっているので、Windows 11がどれだけクソなOSかは事前に分かっていましたが、改めて実感しました。やっぱりWindows 11はクソですね。特にエクスプローラーやタスクバーといったGUIシェルが猛烈に使いづらいことこのうえない。誰もが普段使う機能なのに、Windows 10に比べると超絶的に弱体化あるいは改悪されています。これでも2021年のリリース当初に比べるとかなりマシになってはいますが、結局Windows 10に存在していた機能を機能更新のたびに少しずつ復活させているので、必要な機能を削いで不要な機能をてんこ盛り追加したMSのエンジニアやデザイナーどもが全員何も考えていないアホであったことが逆説的に証明されました。
Windows 11で改悪されたゴミみたいなひどいシェルまわりをWindows 10に近づけるサードパーティ製の各種ツールやModがあることは知っていますが、こういった魔改造ツールはお手軽な反面、悪意のあるコードが紛れ込む可能性が否定できないし*2*3、OSのアップデートで動作しなくなることもあるので、できれば使いたくない。面倒ですがレジストリの編集などで個別に対処していこうと思います。
OSのカーネルはWindows 10とほぼ同じなので、よほどのことがない限り10で動作していたアプリはそのまま11でも普通に動作するようですが、GUIに関してはウィンドウの角丸矩形など余計な変更が入っているせいで微妙な非互換が発生しており、手元の環境でも検証が必要そうです。