syghの新フラグメント置き場

プログラミングTipsやコード断片の保管場所です。お絵描きもときどき載せます。

マザーボードの交換とWindowsライセンス認証

自作PCの調子がいよいよおかしくなり、Windowsが頻繁にブルースクリーンで落ちるようになりました。特にFirefoxの使用中に落ちます。
年明けに休止状態から正常に復帰することができない問題が出ていたのですが、マザーボードASUS H87-PROとIntel Core i7-4770KとDDR3メモリを購入したのが2014年であり、2021年には一時的にメモリ関連の異常動作が発生したこともあったので、おそらくマザーボードもしくはメモリの故障だろうと判断。もう10年以上経過しているので、いつ故障してもおかしくない状況です。

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今年の10月にはWindows 10のサポートが終了し、どのみちWindows 11にアップグレードするにはTPM 2.0に対応したマザーや新しいCPUへの移行が必要になってしまうため、今回ハードウェアの刷新を決めました。

ハードウェアの選定

イスラエル企業の筆頭であるIntelのCPUを使い続けることは自分の政治的信条に反するため、迷わずAMDに決定*1
iGPU(CPU内蔵GPU)の性能は特に重要視していないので、TDP 65Wの省電力ながらミドルハイクラスであるRyzen 7 7700*2*3と、Socket AM5対応マザーとしてASRock B650 Steel Legend WiFiを選定。CPUはともかく、マザーは後から交換するのが大変なので、ここでケチるとかえって損をします。

www.sofmap.com

最近のハードウェアは相性問題が少なくなっているらしいとはいえ、メモリ関連が若干心配でしたが、特に問題なくBIOS/UEFIが起動し、CFDのDDR5メモリ32GBも普通に認識されました。ただし、ASRockのマザーはデフォルトでCSM (Compatibility Supported Module) が無効化されていて、LegacyなSATA接続のWD製HDDとPioneer製BDドライブを認識しません。これではOSのブートデバイスとして使えない(起動優先順位を設定する「Boot Option Priorities」配下のドロップダウンリストにも出てこない)ので、BIOS/UEFI画面の「Boot」タブでCSMを有効化し、「Launch Video OpROM Policy」を「Legacy only」に変更します。
なお、CSMを有効化している場合はiGPUのRadeonが使えないため、dGPU(外付けGPU)が必要になります*4。新しいdGPUは新環境の動作がこなれてからまた別途購入するつもりだったので、とりあえず今はこれまで使っていたGeForceで切り抜けることにします*5

ASUS関連サービスの停止

WindowsのインストールされたHDDを認識するようになったので、ようやくOSのブートシーケンスまでたどり着けるようになりました。

しかし、途中でSYSTEM_SERVICE_EXCEPTIONのブルースクリーンが発生し、Windowsが正常に起動しません。
これはちょっと想定外だったんですが、エラーメッセージによると AsIO.sys というコンポーネントが原因とのこと。
セーフモードでは起動するので、ドライバーの問題だろうと判断。
このAsIO.sysはASUSのドライバーだそうです。もともとASUSのマザーを使っていたので、こういった残骸が残ってASRockマザーとの相性問題を引き起こしているようです。
セーフモードでASUS関連のサービス「ASUS Com Service」を無効化し、念のため %ProgramFiles% と %ProgramFiles(x86)% の直下にある "ASUS" ディレクトリを適当にリネームしてから再起動すると、無事Windowsが正常に起動するようになりました。
※2025-09-29追記:
Windows 11環境でこのAsIO.sysの残骸が残っていると、ドライバーが読み込めないというエラーダイアログが表示されてしまうようなので、管理者権限のコマンドプロンプトsc delete asioを実行してサービスのサブキーを削除し、さらに "%WinDir%\SysWOW64\Drivers\AsIO.sys" を削除または適当にリネームしておくとよさそうです。

最終関門:Windowsのライセンス認証

現在のWindowsはハードウェアを大幅に変更するとライセンス認証が外れてしまうので、そのあたりをどうするかが問題です。
Windows 10/11のデジタルライセンスをMicrosoftアカウントに紐づけていれば、プロダクトキー(ライセンスキー)を再度入力せずとも新しいハードウェアで再認証できる仕組みがあるのですが、これはあくまでWindows 10/11のリテール版ライセンス(OS単独で購入したライセンス)に限られ、ハードウェアとセットで運用されることが前提のOEM版やDSP版は対象外となる可能性が高いそうです。
また、もともとDSP版のWindows 8Windows 8.1Windows 10という形で無償アップグレードしたんですが、2023年9月にWindows 7/8/8.1からWindows 10への無償アップグレードパスが終了されたことに伴い、Windows 8のプロダクトキーでは認証できないだろうな、と覚悟はしていました。

一応、事前に旧マザー環境でログインユーザーにMicrosoftアカウントを追加し、Windows 10のデジタルライセンスをMicrosoftアカウントに紐づけて、

Windows は、Microsoft アカウントにリンクされたデジタル ライセンスによってライセンス認証されています。

という表示が出ていることを確認してはいたんですが、やはりダメだったようです。Microsoftアカウントでログインし、トラブルシューティングを実行しても 0x80070520 のエラーになります。DSP版のパッケージに記載されているWindows 8のプロダクトキーを手動で入力しても、「前回入力したプロダクト キー (00330-xxxxx-00000-AAOEM) は、この Windows では使用できません (0x803FA067)。」というエラーになりました。

しかしDSP版のWindows 8 Proライセンスを購入したのは10年以上前なので、すでに減価償却は十分できていると考えましょうか。最終手段として、MSの電話サポート経由で粘ればライセンス認証が通る可能性もありますが、金より時間のほうがもったいないので、あきらめて今回はリテール版のライセンスを購入することにしました。とはいえ、Windows 10の新規ライセンスはすでに小売店では購入できなくなっています。ただしWindows 11のライセンスでWindows 10をアクティベートすることはできるようになっているので、Windows 11 ProのライセンスでWindows 10 Proをアクティベートすることにしました。MS Storeの定価では¥28,380ですが、ヨドバシだと若干安く買えて、ポイントも付くのでお得です。

作業残件

現状ではまだ起動ストレージのディスクフォーマット(パーティションスタイル)がGPTではなくMBR形式なので、CSMを無効化することができず、Windows 11の要件の1つであるセキュアブートを満たすことができません。Windows 10のサポート終了まではまだしばらく猶予があるので、M.2 SSDの購入と併せて移行していく予定です。

ここまでの費用

勘の良い方はお気づきかもしれませんが、諸問題を大人の財力で強引に解決したので、ここまでの時点でかなりの出費がかさんでいます。

  • AMD Ryzen 7 7700: ¥52,800
  • ASRock B650 Steel Legend WiFi: ¥27,980
  • CFD Standard DDR5-5200 16GB×2 (W5U5200CS-16G): ¥12,750
  • Microsoft Windows 11 Pro: ¥24,340

合計: ¥117,870(税込)

まだこれからグラフィックスカードやストレージも新調しなければならないし、電源ユニットもそろそろ寿命になる可能性が高いので、普通にBTOでカスタマイズしたゲーミングPCを買ったほうがトータルでは安上がりになる可能性が高いですね。最初に自作したときから残っているものと言えば、もはやケースしかなく、中身は全然別物になっているため、自作PCが安上がりかと言えば全然そんなことはないです。
しかし、自作PCの醍醐味というのはそんなものではありません。自分でトラブルを1つ1つ解決していき、その過程でハードウェアやソフトウェアの知識を拡充していくことが目的であり、それが楽しいのです。こういったトラブルシューティングは当然仕事に役立つこともあります。自分で選定し、組み込んだパーツであれば1つ1つに愛着がわきます。

*1:実は最初に買ってもらった富士通製ノートPCのCPUはAMD Duronで、その縁から2008年末に最初にPCを自作したときはAMD Athlon 64 X2 5600+を選定しました。しかし、その後登場したAMD FX(Bulldozerアーキテクチャ)の性能が出ずに大コケしてAMD黒歴史となってしまったのでIntelに浮気していました。すまぬ。Intelは第13世代と第14世代のCoreで設計欠陥をやらかしましたが、これは暴走により回路が焼損して使い物にならなくなるという致命的なものであるにもかかわらずリコールはしていないそうです。なんだそりゃ。かつてのAMDと違って、現在のIntelの体たらくは擁護しようがありません。没落して当然の殿様三流企業に成り下がりました。

*2:CPUはクーラーが付いていない製品も多いのですが、Ryzen 7 7700はAMD純正のリテールクーラーWraith Prismが付いていてお買い得なのもポイントです。

*3:ちなみにこのRyzen 7 7700は3月末にソフマップで購入しましたが、4月に入って1万円近く値上がりしていました(¥52,800→¥61,800)。その後、再び¥52,800に値下がりしたようです。

*4:BIOS/UEFI画面でもCSMの説明書きに「Enable to launch the Compatibility Support Module. Keep CSM disabled when use onboard iGPU output to display.」とあります。

*5:かなり古いKepler世代のELSA GeForce GTX 760 S.A.C 4GBを使っているんですが、グラフィックスカードの設計がよいのか、それともあまり負荷の高いゲームをやらないせいか、随分長生きしてくれています。もっと省電力で高性能なグラフィックスカードが出ているものの、AI需要などのせいでずっと高止まりしているので後継をどうするか思案中。