syghの新フラグメント置き場

プログラミングTipsやコード断片の保管場所です。お絵描きもときどき載せます。

アクトレイザーのリメイクに感じる気持ち悪さ

1990年に故・エニックスクインテット)から発売された超名作アクションゲーム*1*2アクトレイザー」のリメイク「アクトレイザールネサンス」が先月発売されたそうです。最近は(日本製の)新しいゲームをほとんどプレイしなくなったので、リメイク版がリリースされたこと自体全然知りませんでした。
古い名作ゲームが見直されること自体は喜ばしいことなんですが、アクトレイザーのリメイク版は絵が全然受け付けないというかもはや気持ち悪さや吐き気すら感じたのでブラウザのタブを速攻で閉じました。これはアクトレイザーの絵じゃない。アクトレイザーはもっと硬派でストイックなゲームなんだ。オタク向けの安っぽい絵で汚すんじゃねえ。

ロマンシングサガ3聖剣伝説3FF7もそうですが、今のスクエニはもう過去のスクウェアエニックス時代の知的財産 (IP) にすがったリメイク版や続編しか作れない弱小メーカーに成り下がってしまったんです*3。自分は当時のパッケージ絵や取説のイラスト、解像度の低いドット絵や粗いポリゴンといった限られた情報から、自分なりに世界観やキャラクターの表情などを想像しながらプレイしていたので、最近のリメイク版には何の魅力も感じません。それどころか、むしろすべて過去の思い出に泥を塗られた気分で不快です。ゲームのリメイクも結局アニメ作品のリメイクと一緒ですね……どこかで見たような小綺麗なハンコ絵や、あからさまにオタク層に媚びまくった萌え萌えな美少女、気持ち悪いホストみたいな美形のキャラクターデザインばかり。さらに最近のリメイク版ゲームはもれなくボイス追加が付いてきますが、これまた最近の特徴のない量産型声優によるボイスなんて興味ありません。仮にどうしてもプレイしろと言われれば、自分はボイスを全部OFFにするでしょう。

懐古趣味? そうかもしれない。老害だと笑いたければ好きにしてくれ。
「80年代や90年代の絵柄は古く感じるし、解像度の高いデバイスでは粗いドット絵は受け入れられないだろうから、新しくプレイする若年層にアピールするために絵柄を変えるぜ!」というのはまあ半分理解できなくもない話です。
「年を食ってゲームをプレイしなくなった旧作ファンなんてどうでもいい。あいつらはもうユーザーじゃないから無視しろ」というのもまあまあ分かります。
しかし、数十年後にトレンドが変わって揺り戻しが起きたとき、真に評価されるのはやはりオリジナルのほうでしょう。当時のオリジナル作品には、今どきの流行りの安っぽい絵柄や音楽にはない普遍性があります。皮肉なことに、それは当時のハードウェアリソースが極めて限られていたからこそ、開発者が容量の限界に挑戦し、妥協と取捨選択をする過程で生まれた結果でもあるのです。極限までそぎ落とされると本当に重要な表現だけが残り、それこそが時代を超えて語り継がれる普遍性です。際限なく有り余る容量は開発者を堕落させるんですね。あれもこれも詰め込もうとすると、結局何をやりたいのか焦点がボヤけてしまい、ボリュームを増やそうとすればするほど逆に存在そのものが薄っぺらくなってしまうんです。

ああ、この先ガイア幻想紀天地創造までリメイクの名目でレイプされてしまうんだろうか。だから最近のゲーム情報なんて仕入れたくないんだ。

*1:アクトレイザーには、神様が自ら魔物の巣窟に潜むボスを倒しに行くアクションモードと、天使を操作して町を発展させていくクリエイションモードの2つがあり、後者はシムシティのようなシミュレーションゲームに近いものとなっています。

*2:このアクトレイザーには有名な逸話があり、古代祐三氏が手掛けたBGMの完成度の高さに驚いた植松伸夫氏が、FF4のBGM音源を録り直した(サンプリングをやり直した)そうです。FF展レポート「FFVII 15周年記念ステージ」 & 「植松伸夫トークステージ」。「FFVII」から「FF音楽」まで、ゲームファン必見のトーク満載でお届け!! - GAME Watch

*3:スクエニに限らず、バンナムコナミなども同じです。かつて隆盛を誇った日本のメーカーは軒並み凋落し、世界で戦えるメーカーはもう任天堂カプコンくらいしか残っていないと思います。