dアニメで30年ぶりに初代ワタル(1988年)を観返したんですが、80年代アニメのすばらしさを再認識しました。サンライズのロボアニメ全盛期は伊達じゃない。それに80年代アニメはエフェクトがとてもきれいです。特に発光表現は昨今の安直で平板なCG合成なんかよりも断然美麗ですね。映像と音声の融合も完璧で、龍神丸の召喚シーン(田中真弓さんの呼び声と玄田哲章さんの応えがセット)、龍神丸から龍王丸への変身(変化・龍王)のバンクは何度観ても惚れ惚れします。a・chi-a・chiの歌う切なさあふれるOP/EDも、80年代のポップスの良さが凝縮された完成度の高い楽曲です。
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子供だった当時は年齢の近いワタルに感情移入して観ていましたが、大人になった今はシバラク先生に感情移入して観てました(特に第11話)。中盤で臨時ヒロインを務めるユーキちゃんも可愛いですね(声はガンダムΖΖのエル・ビアンノなどの原えりこさん)。80年代のキャラクターデザインは温かみがあって大好きです。顔のデカいキャラが多かったり、みんな個性があって面白い。改めて観直すと、敵の幹部のドン・ゴロさんは悪人だけど虎王のことを誰よりも気にかけていて、決して私欲で動いているわけではないことも分かります。そういえばワタルのギャグ路線は同年代のアラレちゃんに通じるものがありますね。ヒミコはアラレちゃんに近いチートキャラです。ヒミコと親父様の掛け合いも見どころです*1。
当時一番印象に残ったのは、龍神丸が旅の途中で強敵・ガッタイダーを倒すためにパワーを使い切り、力尽きて玉になってしまうシーン(第20話)でした。大人になった今でも当時の寂しさ・悲しさをよく覚えています。その後龍神丸は見事復活を果たし、龍王丸への変身能力も得るのですが、その際ワタルを助けるために空神丸が破壊されてクラマが死んでしまうシーンは涙なくしては観られません。山寺さん良い仕事されてますね。この頃の若い声が好きでした。
ドアクダーを倒して創界山から帰る場面、龍神丸との別れのシーンではまた涙。当時、龍神丸を粘土で作った子供も多かったのではないでしょうか。龍王丸や新星龍神丸、流星丸、超ワタルの龍神丸もカッコ良いんですが、やはり龍神丸は初代が至高にして唯一無二のデザインだなと再認識です。今の子供たちはこんな夢のあるアニメを日常的に観る機会がないなんて可哀想ですね。
続編であるワタル2(1990年)、超ワタル(1997年:地方局では遅れて放送)もリアルタイムで観ていました。こちらもそれぞれ良さがあるんですが、やはり初代ワタルには敵わないですね。
ところで昨年ワタルの新作アニメの制作が発表されましたが、故・井内秀治監督作品でない時点で全く期待が持てません。あと声優がどうなるのか非常に心配です。もし変わってしまうのであれば観たくはないですね。それに龍神丸の代わりに沢山出てくる魔神のデザインが分かりづらいうえに線が細くてトゲトゲしててカッコ悪い。超ワタルの超力変身は(獅子龍神丸を除き)デザインも配色も強い個性があって分かりやすく、流線形の美しいデザインだったんですが……というか今の日本のアニメ業界って、もはや迫力のあるロボを描ける人材なんてロクにいないですよね? CGの龍神丸なんて見たくもありません。さらに企画協力に悪名高きBANDAI SPIRITSが名を連ねているのが不安でしかありません。これは玩具の販促アニメにしかならないのでは……何より、こういった過去のコンテンツの栄光にすがるようでは、日本のサブカルチャーのオワコン化が加速するだけだということに気付かないのでしょうか?
ちなみに当時ワタルとグランゾートのトイはタカラが出していたんですが*2、最近はサンライズとの権利関係からかバンダイがどれもこれも牛耳っているらしく、消費者の足元を見るようなプレミア感を煽る汚い戦略ばかり繰り広げているのが気に入りません。ガンプラもあざといプレミアムバンダイ(プレバン)商法を打ち出すようになってから興味を失っています。青ロゴも違和感ありまくりです。
超ワタルの最終回には賛否両論あったと思いますし、自分としても納得いかない部分もありましたが、アレはアレできれいに終わったと思っているので、もはや過去の名作を汚すようなことは1ミリたりともして欲しくないです。