syghの新フラグメント置き場

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80年代と90年代前半のアニメをとりとめもなく語る(その1)

ジョジョ第5部が終わった後、深夜アニメは一切観なくなったのですが、Tokyo MXの「機動武闘伝Gガンダム」再放送は毎週欠かさず観ています。自分は小学生の頃リアルタイムで観ていましたが、当時見逃した回もあったし、何せ20年以上も前なので、久々に童心に返って新鮮な気持ちで熱中しています。代表作「ミスター味っ子」で有名な今川泰宏監督が手掛けたこのGガンダムは、いわゆる平成アナザーガンダムの先鋒となり、ファンの間口を広げるのに一役買った重要な作品です。ネオジャパン、ネオアメリカ、ネオチャイナといった各国のコロニーを代表するガンダム同士が、地球をリングとした「ガンダムファイト」と呼ばれる格闘技で覇者を決め、最終的に世界の主導権を握ることができるという異色の設定・世界観を持っており、その突拍子もない荒唐無稽さからガンダムシリーズの中でも特にゲテモノ扱いされることが多いのですが、宇宙に送られたコロニー側が棄民(下級層)となっていた宇宙世紀に対して、Gガンダムでは荒廃した地球に残された側を棄民とするなど、実はガンダムシリーズの主題はしっかりと継承されていて、さすがに富野由悠季が今川監督を後継者と認めたと言われているだけのことはあります。当時の自分でさえ「なんじゃこりゃ!? これ本当にガンダムでやっちゃうの?」と思ったのですが、ストーリー展開は意外とシリアスで、毎回々々画面からあふれ出す謎のパワーによってグイグイと引き込まれていきました。

さて物語もいよいよ終盤、1秒たりとも目が離せなくなってきましたが、第44話ではついに重要人物の一人、シュバルツ・ブルーダーが逝きました。Gガンダムは登場人物がことごとく濃くて熱いのですが、この覆面忍者ガンダムファイターは特にその傾向が強いキャラクターです。素手モビルスーツを倒す師匠・東方不敗ことマスター・アジアもGガンダムの象徴的存在として大人気ですが、個人的にはシュバルツ・ブルーダーが一番好きです。声の出演は「聖闘士星矢」のフェニックス一輝こと堀 秀行さん。まさに「これぞ兄貴!」と言えるキャスティングで、完全にハマり役でした。間違いなく、アンタは本当の兄さんだ……。ドモンは普段一人称が「俺」なのに、兄貴の前で最後に弱音を吐くときだけ「僕」になっていたのが切なかったですね。決死の覚悟でデビルガンダムに立ち向かいズタボロに破壊されていくガンダムシュピーゲル、そしてシャイニングフィンガー発動の際によく使われていたBGM「燃えあがれ闘志 忌まわしき宿命を越えて」のアレンジバージョンも悲壮感を高めています。それはそうとアレンビーのウォルターガンダムとレインのライジンガンダムの一騎打ちの行方はどうなったのか……!? 結末は知っているけど気になる……
ちなみに自分は当時からレイン派です。彼女のセクシーなファイティングスーツ装着シーンに当時悶々とした少年も多かったはず。第19話、ギアナ高地での修行中にサイ・サイシーがレインのスカートめくりをしてパンチラするんですが、最近のアニメはこういう「ちょっとだけエッチなサービスシーン」というのがありませんね。お上品にお高くとまってエロが一切なく口寂しくなるか、あざといエロに全振りして過剰な乳揺れに食傷気味になるか、という両極端のどちらかになっています。

話は変わりますが、docomodアニメストアはかなりお勧めの定額視聴サービスです。月額400円(税抜)で観放題、docomoユーザーでなくてもクレジットカードさえあれば利用できます。古今のメジャーな作品はもちろん、「戦え!!イクサー1」のような知る人ぞ知るマイナー作品まで配信されています*1

anime.dmkt-sp.jp

今年はdアニメやDVD/BDで80年代のアニメをずっと観ていました。80年代アニメは観ていてワクワクするのにどこかホッと落ち着きますね。この時代はまさにサンライズの黄金期で、「装甲騎兵ボトムズ」「聖戦士ダンバイン」「重戦機エルガイム」「機動戦士Ζガンダム」「機動戦士ガンダムΖΖ」「魔神英雄伝ワタル」「魔動王グランゾート」といった著名なロボットアニメ以外にも、数多の名作が次々と生まれました。「シティーハンター」や「ダーティペア」は今観ても十二分に楽しめますね。オンエア当時は観ていなかったので、決して思い出補正などではありません*2。この時代はOP/EDの出来もかなり良くて、シティーハンターで言えば1の前期OP/ED、2の前期OP/後期ED、3のOP/EDあたりが個人的にモロ好みです。ガンダムΖΖの後期OPにはダブルゼータのドッキングシーンのバンクが使われていますが、これ手描きなんですよ。今だと絶対に無理ですね、こんな迫力のあるバンクを描ける原画マンと動画マンはもういません……というか、技術的には描けるけど予算諸々の事情でもう描かせてもらえない時代になってしまったといったほうが正しいのでしょうか。

dアニメではもちろん世界名作劇場シリーズも配信されていて、今年は「小公女セーラ」を観ました。舞台は1880年代のロンドン。インドの資産家である父親がダイヤモンド鉱山の投資に失敗して破産したうえに病気で死亡してしまったことにより、学院一番のお嬢様からただ働きのメイドに転落してしまった主人公セーラ・クルーが、陰湿ないじめや嫌がらせ、ひどい仕打ちを受けながらも、気高い精神を失わずにひたすら耐えるという過酷なストーリーです。1880年代当時は金がすべてであり、一般庶民の命は貴族や金持ちよりも軽く、貧民の命はさらに軽く、今だと完全な人権侵害とされる行為が当たり前のように横行していた時代だったそうです。この作品の描写は世相を忠実に反映していて、ある意味妥当なのですが、ラビニア役とミンチン役の声優にはカミソリ入りの封筒が送られたことがあったそうで、二度とこのような役はやりたくないとおっしゃっていたそうです。声優は演技をしているだけで関係ないのに……むしろあのような嫌な役を、視聴者の感情を揺さぶる高いレベルで演じられたことは賞賛に値するものだと思います。というか声優への嫌がらせなんて、そんなのはラビニアやミンチンと同類じゃあねーかと。まったく頓珍漢で卑劣な行為ですね。そんなわけで観ていてかなりストレスが溜まる作品ですが、最後にどんでん返しが待っているので、途中であきらめないで最後まで視聴してください。とはいえ、一応溜飲は下がるものの納得はいかないとは思います。しかし今はもうこういった気骨のある作品が作られることは本当にないですね。

世間一般の評価は高くないものの、スタジオぴえろの「魔法のアイドル パステルユーミ」もなかなか面白かったです。絵を描くことが好きな花屋さんの少女・花園ユーミが、花の妖精からもらった魔法のステッキを使って、様々な問題を解決しようとします。しかし「エスパー魔美」同様、今だとTV放送できない作品ですね。dアニメでは配信されていなかったので、DVDを購入しようと思ったのですが、ボックスの価格が高めなので輸入盤*3を購入しました。PAL方式ですがDVDドライブを搭載したPCであれば問題なく再生でき、日本語版の音声や映像も完全収録されています。PS4でも再生できるみたいですね。

ユーミちゃんの声優を務められ、OP/ED主題歌も担当された志賀真理子さんですが、若くして事故で亡くなっています。その事実を知ったうえで作品を観たのですが、お世辞にも上手いとは言えないものの一生懸命な演技に胸が切なくなりました。

80年代アニメは間違いなく今のアニメよりも圧倒的に面白いです。今の量産型クソ深夜アニメを1クール4本観るくらいだったら80年代アニメ50話観たほうがよっぽど有意義に時間を過ごせます。懐古趣味と言いたければどうぞご自由に。ですが温故知新とも言います。「面白さ」のルーツを理解するには、過去の名作を観るというのは常套手段です。

もちろん手放しですべての80年代作品を賞賛できるかと言われるとそうでもないです。例えば豪華スタッフが結集したOVA作品「メガゾーン23」は、映像表現は美麗で音楽も素晴らしいのに、ストーリー展開のカタルシスが弱く、発散してしまっていて微妙だと思いました。せっかくの素材を活かせていない。どちらかというと「自己満足」(オナニー)の部類に入ると思います。あとPart IとPart IIでキャラクターデザインが変わりすぎ。直接の続編で同じ登場人物のはずなのに、時祭イヴ以外は完全に別人です。とはいえ、OVA黎明期にこの作品が果たした役割は大きかったようですね。TV版「鎧伝サムライトルーパー」は改めて観ると戦闘シーンの作画の使いまわしが非常に多かったり、途中で打ち切りになったせいかキャラクターの掘り下げが甘かったりと、こちらは力量不足で素材を活かしきれていない印象を受けました*4。でも自分は子供だった当時、聖闘士星矢と同じくらいサムライトルーパーも好きでしたよ。作りが多少雑でも謎のパワーと執念でカバー、それが80年代アニメの強さなのか。

本当にとりとめもなくなりましたが、来年あたり「その2」に続く……かもしれません。

*1:イクサー1は2016年に雑すぎる残念な黒塗り修正付きで地上波TV放送されたことがあるそうですが、dアニメでは完全版が視聴できます。

*2:80年代アニメは自分が子供の頃から慣れ親しんだ声優さんが数多く出演していらっしゃるので、その点ではある意味思い出補正といえるのかもしれませんが。

*3:日本の80年代アニメはフランスでも放送されていて、人気が高かったそうです。今年実写映画化されたシティーハンターもフランス製ですね。芸術の国と言われているだけあって、日本のアニメや特撮作品をぞんざいに扱うハリウッドとは一線を画しています。

*4:サムライトルーパーは二重放送事故でも有名なようですが、これはただの放送局側の失態であり、作品自体の責任ではありません。